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鳩の触覚に訴える物理的な対策
視覚や嗅覚による忌避策が、鳩の「学習能力」によって効果を失ってしまった場合、より直接的で、確実な効果が期待できるのが、鳩の「触覚」に訴えかける、物理的な対策です。これは、鳩が「留まりたい場所に、物理的に留まれなくする」という、非常にシンプルで、強力な戦略です。まず、最も一般的で、効果が高いのが、剣山のような、プラスチック製または金属製のトゲトゲが付いた「防鳥スパイク(ピン)」の設置です。これを、鳩がよく留まるベランダの手すりや、エアコンの室外機の上、あるいは、窓の庇(ひさし)といった、平らな場所に設置します。これにより、鳩は着地することができなくなり、その場所を諦めざるを得なくなります。スパイクは、鳩を傷つけるためのものではなく、あくまでも「ここに留まることはできない」と、物理的に教えるための道具です。次に、手すりの上など、直線的な場所に有効なのが、「防鳥ワイヤー」の設置です。手すりの上、数センチメートルの高さに、ステンレス製の細いワイヤーを一本、あるいは複数本張るだけで、鳩は、着地する際に羽がワイヤーに触れるのを嫌がり、その場所に留まることができなくなります。ワイヤーは、非常に目立ちにくいため、建物の美観を損なわずに対策できるのが、大きなメリットです。また、粘着性のある「ジェル状の忌避剤」も、触覚を利用した対策の一つです。これを手すりなどに塗っておくと、そこに留まった鳩は、足がベタベタする不快感から、二度とその場所には近寄らなくなります。ただし、ジェルは、ホコリやゴミが付着して汚れやすく、また、誤って人間や他の動物が触れてしまう可能性もあるため、使用する場所には注意が必要です。これらの物理的な対策は、一度正しく設置すれば、長期間にわたって効果が持続します。鳩の執着心が強い「ねぐら」や「営巣」の段階に移行してしまった被害に対しては、こうした物理的な障壁を築くことが、根本的な解決への、最も確実な道筋となるのです。
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クロスズメバチの巣とオオスズメバチの巣の違い
地面の中に巣を作るという共通点から、クロスズメバチの巣と、最強の蜂であるオオスズメバチの巣は、しばしば混同されることがあります。どちらも極めて危険であることに変わりはありませんが、その生態や巣の構造には、いくつかの違いがあります。この違いを知っておくことは、遭遇した際の危険度を、より正確に判断する上で役立ちます。まず、最も分かりやすい違いは、「蜂の大きさ」です。クロスズメバチの働き蜂は、体長10〜15ミリメートル程度と、スズメバチの中では比較的小型です。黒地に白い縞模様が特徴で、全体的に黒っぽい印象を与えます。一方、オオスズメバチの働き蜂は、体長27〜38ミリメートルと、圧倒的な大きさを誇ります。頭部がオレンジ色で、胸部が黒、腹部が黄色と黒の縞模様という、非常に派手なカラーリングをしています。もし、巣に出入りしている蜂が、明らかに小型で黒っぽければ、クロスズメバチの可能性が高いです。次に、「巣の場所」の傾向にも違いがあります。クロスズメバチは、前述の通り、ネズミの古巣など、既存の空洞を再利用することが多いです。それに対して、オオスズメバチは、より積極的に、自ら土を掘り進んで、巣の空間を拡張していく能力を持っています。そのため、オオスズメバチの巣は、より大規模になる傾向があります。そして、「巣の構造」そのものにも、微妙な違いが見られます。どちらの巣も、木の皮などを材料にした、何層にも重なる巣盤(育房の集まり)で構成されていますが、巣盤を支える「支柱」の作り方が異なります。クロスズメバチの巣の支柱は、比較的細く、数が多いのが特徴です。一方、オオスズメバチの巣の支柱は、太くて頑丈で、数も少ないです。もちろん、これは巣を掘り起こしてみなければ分からないことですが、専門家はこうした点からも、巣の主を特定します。しかし、私たち素人にとっては、地面から蜂が多数出入りしている時点で、それは「最高レベルの警戒警報」であると認識することが何よりも重要です。その蜂がクロスズメバチであろうと、オオスズメバチであろうと、取るべき行動はただ一つ。「静かに、そして速やかに、その場を離れる」ことです。