家の中で小さい蛾が発生してしまった場合、その不快な飛翔を一日でも早く止め、被害の拡大を防ぐためには、正しい手順に基づいた、徹底的な駆除作業が必要となります。重要なのは、単に飛んでいる成虫を叩き潰すだけでなく、その発生源となっている幼虫や卵まで、根本から根絶やしにすることです。ここでは、成虫と幼虫、それぞれに対する正しい駆除方法を解説します。まず、「成虫の駆除」です。ひらひらと飛んでいる成虫に対しては、市販の殺虫スプレーが最も手軽で即効性があります。ただし、キッチンで食品や食器の近くで使用する際は、薬剤がかからないように細心の注意が必要です。使用後は必ず換気を行いましょう。薬剤を使いたくない場合は、粘着式のハエ取りリボンや、コバエ用の捕獲器(誘引タイプ)を設置するのも有効です。また、夜行性の蛾は光に集まる習性があるため、夜間に部屋の照明を消し、電撃殺虫器を作動させておくと、光に誘われてやってきた成虫を効率的に駆除することができます。しかし、これらはあくまで対症療法です。最も重要なのは、「幼虫と卵、そして発生源の駆除」です。蛾の種類によって、その場所は異なります。キッチンで発生しているノシメマダラメイガの場合は、まず発生源となっている食品(小麦粉、米、パスタなど)を特定します。そして、もったいないと感じても、その食品は袋ごとビニール袋に入れ、口を固く縛って密閉し、潔く廃棄してください。その後、その食品を保管していた棚や引き出しの内部を、掃除機で徹底的に清掃し、こぼれた粉などを完全に除去します。仕上げに、消毒用アルコールを吹き付けた布で拭き上げると、残っている可能性のある卵も殺菌でき、万全です。クローゼットで発生しているイガ・コイガの場合も同様です。虫食いの被害にあった衣類や、幼虫が付着している衣類を特定し、可能であれば廃棄します。高価な衣類で処分できない場合は、五十度以上のお湯に浸けるか、高温の乾燥機にかける、あるいはアイロンのスチームを当てるなどして、熱処理で卵と幼虫を完全に死滅させます。そして、クローゼット全体を清掃し、防虫剤を新たに設置します。成虫を駆除し、発生源を断つ。この二段構えの攻撃こそが、小さい蛾との戦いに終止符を打つ、唯一の方法なのです。
小さい蛾の正しい駆除方法と注意点