鳩の被害に悩み、一刻も早く追い払いたいという焦りから、誤った対策に手を出してしまうケースは少なくありません。良かれと思ってやったことが、実は全く効果がなかったり、問題を悪化させたり、さらには法律に触れてしまったりすることさえあるのです。後悔しないためにも、やってはいけない「NG鳩対策」をしっかりと理解しておきましょう。まず、最も注意すべきなのが「法律違反」です。鳩は、「鳥獣保護管理法」によって保護されている野生動物です。そのため、自治体の許可なく、鳩を傷つけたり、捕獲したりすることは法律で固く禁じられています。そして、最も重要なのが、卵や雛のいる巣を勝手に撤去・処分することも、この法律に違反する行為となります。巣を発見し、中に卵や雛がいる場合は、絶対に自分で手を出さず、必ずお住まいの自治体や専門の駆除業者に相談してください。次に、効果が薄い、あるいは全くない対策です。その代表格が、CDやキラキラ光るテープなどを吊るす方法。最初は光の反射を警戒するかもしれませんが、鳩は非常に学習能力が高いため、自分に害がないとわかるとすぐに慣れてしまい、効果は長続きしません。同様に、磁石を置くという対策も、鳩の方向感覚を狂わせるという俗説がありますが、その効果に科学的な根拠は全くありません。鳩の置物や人形を置くのも、最初のうちこそ警戒しますが、それが動かない偽物だと見破られると、全く意に介さなくなります。むしろ、仲間の鳩がいる安全な場所だと認識されてしまう可能性すらあります。そして、「一時的な追い払い」も逆効果になりがちです。鳩は非常に強い帰巣本能と執着心を持っています。巣を作ろうと決めた場所から、大きな音を出したり、水をかけたりして追い払っても、人がいなくなればすぐに戻ってきます。こうした威嚇行為は、鳩に強いストレスを与え、かえってその場所への執着心を強めてしまうことにも繋がりかねません。正しい知識に基づかない安易な対策は、時間と労力の無駄になるだけでなく、問題をより複雑にしてしまう危険性があることを、心に留めておく必要があります。