ミツバチの巣を見つけた時、費用を節約したいという思いから、市販の殺虫剤で自分で駆除しようと考える方もいるかもしれません。しかし、ミツバチの駆除、特に定着した巣の駆除を素人が行うのは、極めて危険であり、絶対に避けるべきです。その理由は、単に「刺されるから」というだけではありません。まず、最も大きなリスクが「集団での反撃」です。ミツバチの巣には、数千から数万匹という、想像を絶する数のハチがいます。巣に中途半端な攻撃を仕掛けると、巣を守ろうとする防衛本能が働き、おびただしい数の働き蜂が一斉に襲いかかってきます。一匹のハチが出す警報フェロモンが、さらに多くの仲間を呼び寄せ、攻撃はエスカレートします。市販の殺虫剤や素人の装備では、この猛攻から身を守りきることは不可能です。次に、「アナフィラキシーショック」の危険性です。ハチの毒に対してアレルギー反応を起こす体質の人が刺されると、血圧低下や呼吸困難といった全身症状が現れ、最悪の場合は命を落とすこともあります。自分がアレルギー体質でなくても、家族が刺されてしまう可能性も考えなければなりません。さらに、駆除作業そのものの難しさもあります。ミツバチの巣は、屋根裏や壁の中といった、簡単には手の届かない閉鎖空間に作られることが多いです。巣を完全に取り除くためには、壁や天井を一部破壊する必要があるかもしれません。そして、巣を完全に撤去しないと、残った蜂蜜が建材を腐らせたり、カビを発生させたり、あるいはゴキブリや他の害虫を呼び寄せたりする原因となります。また、駆除を生き延びた「戻り蜂」が、巣があった場所の周りをしばらく飛び回り、興奮状態が続くという問題もあります。プロの駆除業者は、専用の防護服と機材を身につけ、ハチの習性を熟知した上で、安全かつ確実に作業を行います。巣の完全な撤去から、戻り蜂対策、再発防止の侵入経路封鎖まで、トータルで対応してくれます。目先の費用を惜しんで、自らの命や家族の安全、そして家屋の健全性を危険に晒すことのないよう、ミツバチの駆除は必ず専門家に任せるようにしてください。
DIYでのミツバチ駆除が絶対NGな理由