洗濯物を取り込む際に小さい虫を発見すると、多くの人はパニックになり、とっさに手で払いのけたり、洗濯物をバサバサと激しく振ったりしてしまいがちです。しかし、その行動は、かえって事態を悪化させてしまう可能性があります。虫の種類や状況に応じた正しい取り方を知っておくことで、被害を最小限に抑えることができます。まず、最も重要な大原則は「虫の種類を冷静に見極める」ことです。もし、付着しているのがアシナガバチやスズメバチといった危険なハチだった場合、絶対に手で払おうとしたり、刺激したりしてはいけません。刺される危険性が非常に高いです。その場合は、静かにその場を離れ、ハチが自然に飛び去るのを待つか、距離を保ちながら殺虫剤を使用するなどの慎重な対応が必要です。カメムシの場合も、刺激すると悪臭を放つため、手で払うのは厳禁です。ティッシュペーパーや割り箸などでそっとつまんで取り除くか、あるいは指で軽く弾き飛ばす「デコピン」が有効です。アブラムシやアザミウマ、ユスリカといった比較的小さく無害な虫の場合は、洗濯物が乾いていれば、表面を優しく指で払うだけで簡単に取れることが多いです。しかし、潰してしまうと体液でシミになる可能性があるため、あくまで優しく払うのがポイントです。もし、虫が複数付着していたり、手で払うのに抵抗があったりする場合は、粘着テープ(ガムテープなど)や、衣類用の粘着ローラー(コロコロ)を使うのがおすすめです。粘着面を虫に軽く押し当てるようにすれば、洗濯物を傷めずに、きれいに取り除くことができます。そして、最も注意が必要なのが、ガの卵などが産み付けられている可能性がある場合です。もし、小さな粒状のものが密集して付着していたら、それは卵かもしれません。この場合は、払い落とすだけでは不十分です。その部分に五十度以上の熱いお湯をかけるか、アイロンのスチームを当てるなどして、卵を完全に死滅させる必要があります。その後、再度その衣類だけを洗濯し直すと万全です。慌てず、冷静に、そして正しく対処することが、不快な小さい虫との遭遇をうまく乗り切るための鍵となります。