家の中でふと壁や床に目をやったとき大人の手のひらほどもある巨大な蜘蛛が張り付いているのを見て心臓が止まるような思いをしたことはありませんか。その蜘蛛がもし太くて長い脚を持ち素早い動きでカサカサと移動するならそれはアシダカグモである可能性が極めて高いと言えます。アシダカグモは徘徊性の蜘蛛であり巣を張らずに歩き回って獲物を探すハンターでその見た目の恐ろしさから不快害虫として嫌われることが多いですが実態は家の中の衛生を守ってくれる最強の益虫です。彼らの主食はあの忌まわしいゴキブリでありアシダカグモが家に二、三匹いればその家のゴキブリは半年で全滅すると言われるほどの驚異的な捕食能力を持っています。彼らは夜行性で昼間は家具の隙間や天井裏などに隠れていますが夜になると活動を開始し優れた視覚と脚にある感覚毛で獲物の振動を感知して音もなく忍び寄り瞬時に飛びかかって捕らえます。毒は持っていますがそれはあくまで小さな昆虫を麻痺させるためのものであり人間の皮膚を貫通するような強力な牙も攻撃性も持っていないため人間が素手で掴んだりしない限り噛まれることはまずありません。むしろ人間が近づくと一目散に逃げていく臆病な性格をしています。アシダカグモの寿命はオスが三年から五年メスはそれ以上生きることもあり脱皮を繰り返して成長しますが面白いことに彼らは非常に綺麗好きでもあり食事の後には念入りに脚や触肢を掃除する姿が観察されます。もし家の中でアシダカグモを見かけたとしてもそれはあなたの家が汚いから蜘蛛が湧いたのではなくあなたの家に彼らの餌となるゴキブリやハエなどの害虫が潜んでいるから彼らがパトロールに来てくれていると考えるべきです。彼らは餌がなくなれば自然と次の狩場を求めて家から出て行きますので殺虫剤で殺してしまうのは恩を仇で返すようなものであり家の守り神を追い出すことと同義です。どうしてもその姿が耐えられないという場合は殺さずに虫取り網やプラスチック容器を使って捕獲し外の植え込みなどに逃がしてあげるのが互いにとって最良の選択ですが彼らがそこにいる理由を理解しゴキブリ駆除の頼もしい相棒として遠くから見守る度量を持ちたいものです。