家の中で一ミリメートル程度の小さな虫を見つけたとき、多くの人は直感的に「小さい蜘蛛だ」と判断しがちですが、実はその中には蜘蛛ではない昆虫が混じっていることが多々あります。その代表格が「チャタテムシ」と呼ばれる生物です。チャタテムシは一ミリメートルから一・五ミリメートルほどの大きさで、色は淡褐色や薄黄色をしており、遠目に見ると確かに小さな蜘蛛のように見えます。しかし、蜘蛛は脚が八本であるのに対し、チャタテムシは昆虫なので脚は六本です。また、蜘蛛にはない「触角」がチャタテムシにはありますが、肉眼でこのサイズの違いを見分けるのは至難の業でしょう。では、どのようにして蜘蛛かチャタテムシかを判断すればよいのでしょうか。一つの判断基準は「動き」です。ハエトリグモの幼体などはピョンピョンと跳ねたり、素早く動いては止まるというメリハリのある動きをしますが、チャタテムシは比較的単調にゾロゾロと歩き回ることが多いです。また、発見場所も重要な手がかりになります。チャタテムシは湿気とカビを好むため、古本の間、段ボールの隙間、湿気の多い押入れ、結露した窓枠の近く、あるいは貯蔵食品(小麦粉や乾麺など)の近くで見つかることが多いです。一方、徘徊性の蜘蛛は獲物を求めて壁や天井、床など広範囲を移動します。もし、古い本を開いた瞬間に小さな虫が這い出してきたなら、それは蜘蛛ではなくチャタテムシである可能性が濃厚です。チャタテムシ自体は人を刺すことはありませんが、彼らの死骸や糞はハウスダストとなり、吸い込むことで喘息やアレルギー性鼻炎の原因となることがあるため、蜘蛛よりも厄介な存在と言えるかもしれません。さらに、チャタテムシが増えると、それを捕食するためにツメダニなどの人を刺すダニが増殖するという二次被害も引き起こします。つまり、「一ミリの蜘蛛のような虫」がチャタテムシであった場合、それは「掃除と除湿が必要」という緊急のサインです。対策としては、まず発生源となっているカビを除去し、部屋の湿度を五〇%以下に保つよう除湿を徹底することが基本です。段ボールは溜め込まずに処分し、食品は密閉容器に保存しましょう。一方、もしその生物が本当に蜘蛛であれば、それはチャタテムシなどを食べてくれる益虫ですので、過剰に敵視する必要はありません。ルーペやスマートフォンのマクロ撮影機能を使って、脚の数や触角の有無を確認してみるのも一つの方法です。敵を知り己を知れば百戦危うからずと言うように、その正体がカビを食べる害虫なのか、それを狩る益虫なのかを見極めることが、適切な家庭内環境管理の第一歩となるのです。
一ミリの虫は蜘蛛か茶立虫か